不倫

ネットでリッチなパパ探し
「夫にバレたかもしれない」と彼の車の中で告白すると、彼は困ったようにタバコの煙を吐き出した。
私は不倫などする気もなかったただの主婦だった。小遣い稼ぎに近くのドラッグストアでパートを始めたのが三か月前。仕事に慣れた時、本社からの営業社員が顔を出し、挨拶をしたのが最初。彼が店にくる頻度が増え、話すようにり、食事に誘われ、ランチを一緒にしたのが、働き始めて一ヶ月にもなるかという頃だった。
「色っぽいですよね」というありきたりな褒め言葉から「旦那さんが羨ましいよ」「手料理食べてみたいな」と、だんだんとその褒め言葉が慣れなれしくなり、最後には夫とのセックスについてまで突っ込んだ質問をしてくるようになった。
その頃からすでに心はもう不倫していたのかもしれない。別の男性にとっても私は魅力的なのか、まだ女としてそそる何かを持っているか、どこまで男に対して影響力を持つことができるのか。きっと最初はそういう女としての欲または好奇心だったのだろう。
うずうずした、大人の駆け引きなど分からない。私はそのまま、求められるまま、体を許したのだ。
そのあとで夫に申し訳ないとか、裏切ったというような後悔に苛まれるようになった。「夫にバレた」と彼には言ったが、夫は別に何も気づいてはいない。私は普通に日常を続けているだけだ。私が不倫しているだけだ。それが心の中でどうしても許せなくなり、不倫の関係をやめなければと思いつめていただけなのだ。
別の男性に体を許しただけと言葉にすれば軽いことだが、夫の目を見ることができない。このままでは、バレるのは時間の問題なのだ。夫に不満があるわけではない。今の生活にも満足だ。ただ、女としての欲と好奇心に負けただけで、別に惚れていたわけではないのだ。相手の方も別に私を愛しているわけではないのだろう。そろそろ潮時だ。
「旦那さんに会いにいくよ、誠心誠意謝って、君を幸せにするから別れてくれと頼む。慰謝料はたいした額は用意できないけど……」。タバコをもみ消し、彼は私の目をまっすぐ見てこういった。
興ざめの一言に尽きる。
愛人契約